暗号化USBメモリの選び方|データ持ち出しの情報漏洩を防ぐセキュリティ対策

テレワークセキュリティ

テレワークで資料を持ち帰るとき、USBメモリにデータを入れて運ぶことはありませんか。手軽で便利な一方、もし紛失したり落としたりしたら……と考えると、少し不安になります。ITヘルプデスクとして12年働いてきましたが、USBメモリの紛失による情報漏洩は、企業でも個人でも起こりうる、身近で深刻なトラブルです。

普通のUSBメモリは、拾った人がパソコンに挿せば中身をそのまま見られてしまいます。顧客情報や社外秘の資料が入っていた場合、漏洩の被害は本人だけでなく、取引先や会社全体に及ぶこともあります。ニュースで「USBメモリを紛失し個人情報が流出」という報道を見かけるのも、珍しくありません。

こうしたリスクに備えるのが、暗号化USBメモリです。データを暗号化し、パスワードなどで保護することで、万一なくしても中身を見られないようにできます。ただ、いざ選ぼうとすると、暗号化の方式やパスワードの仕組みなどが分かりにくいものです。この記事では、テレワーカーの視点で暗号化USBメモリの選び方を整理し、失敗しないためのチェックポイントとおすすめの3台を紹介します。

普通のUSBメモリを持ち歩くリスク

USBメモリは小さくて軽く、手軽にデータを持ち運べる便利な道具です。ですが、その手軽さゆえのリスクもあります。

最大の問題は、紛失・盗難による情報漏洩です。普通のUSBメモリは、中のデータが暗号化されていないため、拾った人や盗んだ人がパソコンに挿せば、保存されている中身をすべて見られてしまいます。小さくて落としやすい、カバンの中で紛れやすいという特性も、紛失リスクを高めます。

テレワークでは、自宅と会社、あるいは外出先の間でデータを持ち運ぶ場面が増えます。その中に顧客の個人情報や、会社の機密資料が含まれていると、紛失したときの被害は甚大です。損害賠償や信用の失墜など、金銭的にも社会的にも大きな代償を払うことになりかねません。

もう一つのリスクが、ウイルス感染の媒介になることです。USBメモリを別のパソコンに挿した際にウイルスに感染し、それを自分のパソコンや社内ネットワークに持ち込んでしまう、というケースもあります。

暗号化USBメモリは、これらのリスクに対応するために作られています。データを暗号化して、正しいパスワードがなければ中身を読めないようにすることで、紛失・盗難時の情報漏洩を防ぎます。

暗号化USBメモリの2つの方式

暗号化USBメモリには、大きく「ソフトウェア暗号化」と「ハードウェア暗号化」の2つの方式があります。この違いを押さえると、自分に合ったものを選びやすくなります。

  • ソフトウェア暗号化:付属のソフトやパスワード入力アプリで暗号化する方式。比較的安価で手に入りやすい。ただし、暗号化・復号をパソコン側で処理するため、対応OSの制約があったり、ソフトの操作が必要だったりする
  • ハードウェア暗号化:USBメモリ本体に暗号化専用のチップを内蔵し、機器自体が暗号化・復号を行う方式。パソコンにソフトを入れる必要がなく、OSを問わず使いやすい。セキュリティ強度が高く、価格はやや上がる

セキュリティ強度と使い勝手を重視するなら、ハードウェア暗号化のほうが優れています。特に、機密性の高いデータを扱う場合や、複数のパソコンで使う場合は、ハードウェア暗号化が安心です。一方、コストを抑えたい・扱うデータの機密性がそれほど高くない場合は、ソフトウェア暗号化やパスワードロック機能付きの製品でも十分なこともあります。扱うデータの重要度に応じて選びましょう。

選ぶときの4つのチェックポイント

① 暗号化の方式と強度

前述の通り、ハードウェア暗号化のほうがセキュリティ強度が高く、使い勝手も良好です。暗号化の強度を示す規格として「AES 256bit」という表記があり、これは現在広く使われている強力な暗号化方式です。機密データを扱うなら、AES 256bitのハードウェア暗号化に対応した製品を選ぶと安心です。製品説明で暗号化方式を確認しましょう。

② パスワード保護と不正アクセス対策

パスワードでロックできるのは基本として、不正アクセスへの対策があるとより安全です。たとえば「パスワードを一定回数間違えると、自動的にロックがかかり、中のデータが消去(再フォーマット)される」機能があると、総当たりでパスワードを破られるのを防げます。盗まれても中身を守り抜きたいなら、こうした機能付きを選びましょう。

③ 容量と転送速度

保存したいデータ量に合った容量を選びます。書類中心なら16〜32GB、写真や大きめのファイルも扱うなら64GB以上が目安です。また、USB規格が新しいほど(USB 3.0/3.2など)データの転送が速くなります。大きなファイルを頻繁にやり取りするなら、転送速度の速いモデルが快適です。ただし、暗号化処理のぶん、通常のUSBメモリより速度は控えめになる傾向があります。

④ 耐久性とメーカーの信頼性

持ち運ぶものなので、耐久性も大切です。金属製の頑丈な筐体や、防水・防塵に対応したモデルは、持ち歩きでの故障リスクを減らせます。また、データを預ける機器なので、実績のあるメーカーを選ぶと安心です。国内メーカーなら日本語のサポートが受けやすく、トラブル時にも頼りになります。保証期間の長さも確認しておきましょう。

導入時の注意点

暗号化USBメモリを安全に使うために、以下の点を知っておきましょう。

  • パスワードを忘れると復旧できない:暗号化USBメモリは、パスワードを忘れると中のデータを取り出せなくなります(不正アクセス対策として、そういう設計になっています)。パスワードは確実に管理しましょう
  • 暗号化USBだけに頼らずバックアップを:USBメモリはいつか故障する可能性があります。大事なデータは、暗号化USBメモリだけでなく、別の場所(社内サーバーや外付けドライブなど)にもバックアップしておきましょう
  • 会社のルールを確認する:勤務先によっては、USBメモリの使用そのものが禁止されていたり、指定の製品しか使えなかったりします。業務データを扱う場合は、必ず会社のセキュリティルールを確認してください
  • 使い終わったらデータを残さない:持ち運びが済んだら、速やかにパソコンにデータを移し、USBメモリの中を空にしておくと、万一の紛失時のリスクを減らせます

情報漏洩対策におすすめの暗号化USBメモリ3選

① バッファロー RUF3-KEV32G-BK(国産・ウイルスチェック+パスワードロック・入門)

まず手軽に、国産の安心感で始めたい人におすすめのモデルです。国内メーカーのバッファロー製で、パスワードロックによる情報漏洩対策に加え、ウイルスチェック機能(DiXiM Security Endpoint)を搭載。USBメモリを介したウイルス感染のリスクにも備えられます。USB端子をボールペンのように出し入れできるノック式で、キャップの紛失もなく使いやすい設計。国内メーカーなので日本語のサポートも受けやすく、初めての暗号化USBメモリとして安心して選べます。「パスワード保護とウイルス対策を、手軽に国産で」という人にぴったりの一台です。

向いている人:まず国産の安心感で始めたい人、ウイルス対策も兼ねたい人、使いやすさを重視する人

② Kingston DataTraveler Locker+ G3(ハードウェア暗号化+クラウド自動バックアップ・中位)

暗号化しつつ、データのバックアップも取りたい人におすすめのモデルです。ハードウェア暗号化とパスワード保護でデータを守りつつ、保存した内容をGoogle Drive・OneDrive・Dropboxなどのクラウドへ自動的にバックアップできるのが特徴。USBメモリが故障・紛失しても、クラウド側にデータが残るので安心です。不正アクセスが10回繰り返されるとロックがかかり、再初期化される仕組みも備えます。金属製の筐体でずっしりとした堅牢な作り。「暗号化の安全性と、バックアップの安心を両立したい」という人に向いた一台です。

向いている人:暗号化とバックアップを両立したい人、堅牢な作りを求める人、クラウド連携を活用したい人

③ Kingston DataTraveler Vault Privacy 3.0(256bit AESハードウェア暗号化・ビジネスグレード・本格派)

機密データの持ち出しに本気で備えたい人におすすめの、ビジネスグレードのモデルです。XTSモードのAES 256bitハードウェア暗号化を採用し、企業レベルの高いセキュリティを実現。複雑なパスワードの入力を必須とすることで保存データを強固に保護し、不正アクセスが10回試行されるとロックされ再フォーマットされます。ハードウェア暗号化なのでパソコンにソフトを入れる必要がなく、OSを問わず使えるのも利点。機密性の高い顧客情報や社外秘資料を扱う人、確実な情報漏洩対策を求める人に応える一台です。価格は上がりますが、守るデータの重要性を考えれば、その価値のある投資です。

向いている人:機密データを扱う人、最高レベルのセキュリティを求める人、複数のパソコンで使いたい人

まとめ

暗号化USBメモリ選びのポイントは、次の4つに整理できます。

  • 暗号化の方式(機密データならAES 256bitのハードウェア暗号化が安心)
  • パスワード保護と、一定回数失敗でロックする不正アクセス対策
  • 保存データ量に合った容量と、必要な転送速度
  • 持ち歩きに耐える耐久性と、信頼できるメーカー・サポート

手軽に国産で始めるならバッファロー、暗号化とバックアップを両立するならKingstonのLocker+ G3、機密データを本気で守るならVault Privacy 3.0が候補になります。暗号化USBメモリは、データの持ち出しにともなう情報漏洩リスクから、あなたと会社を守る備えです。VPNが「通信の安全」を守るのに対し、暗号化USBは「持ち出すデータの安全」を守る道具。自分の扱うデータに合った一台で、安心してデータを持ち運べる環境を整えましょう。

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